2021年4月2日
大学院農学研究科修士課程 川久保修佑君と農学部 大島一里教授(植物ウイルス病制御学分野)のグループは,ユーラシア大陸における植物ウイルスの拡散(移動)が,シルクロードと関連あることを,植物病原体として世界で初めて明らかにしました。
米国科学アカデミー紀要(PNAS)に「Genomic analysis of the brassica pathogen turnip mosaic potyvirus reveals its spread along the former trade routes of the Silk Road」として掲載されました。
(https://www.pnas.org/content/118/12/e2021221118)
本研究の概要は以下の通りです。
アブラナ科野菜に甚大な被害を与えているカブモザイクウイルスを広大なユーラシア大陸から採集し,半世紀に渡る膨大な数の分離株のゲノム構造を決定しました。その後,分子進化,分子疫学,系統地理学的な最先端のバイオインフォマティクスを用いて,ウイルスの変異型や組換え型など大陸における多様なゲノム型の分布,大陸内での詳細な拡散経路を解析しました。その結果,本ウイルスは組換えや変異を繰り返しながら,17世紀頃から大陸を西から東へと様々な経路を辿り,またかつての交易路であるシルクロードも辿ったことが明らかになりました。多くの国々の研究者の協力のもとに達成できた国際共同研究でもあります。
連絡先: 大島一里 ohshimak(at)cc.saga-u.ac.jp
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